先日起こったクレーン横転事故ね。
なぜ横転したのか?
っていう災害の概要や要因が気になるワケですよ。
同業者なのでね。
でね、ワタクシはこの災害の当事者でも無いし、関係者でも無いから勝手な事言えないんだけどさ
この災害に関していくつかの疑問があるんですよ。
災害概要
まず、災害の第一報ね。
12月18日朝、宮城・塩釜市の工事現場で大型クレーン車が横転した。
この事故で、1人が死亡、5人がけがをしている。
車の上に倒れたクレーン車のアーム。
アームの先端があたった車は、完全に押しつぶされている。
事故があったのは、宮城・塩釜市のホームセンターの新築工事現場。
18日午前7時40分ごろ、荷物をつり上げていた大型クレーン車が横転し、複数の工事関係車両が下敷きになった。
警察と消防によると、この事故で、1人が死亡、5人がけがをしたという。
現場は、塩釜港に近い国道沿いにあり、事故当時、風速3メートル以下と風は弱い状態だった。
警察は、工事関係者に話を聞くなどして、事故の原因を調べている。
※↑報道を引用しました。
横転したクレーンのブームの下敷きとなり
1人が死亡、5人がケガとの事で…
不運にも被害に遭われた方々に、心よりお見舞い申し上げます。
85tクレーンじゃねぇし!!
モノ申したいポイントなんですけどもね…
まぁね
ホントちっさい事なんだけどさ…
報道によっては85tクレーンなんて報じてるトコもありますけど、厳密に言っちゃうと85tクレーンじゃないんですよね。
アレ、KATOのSL-850よ。
80tクレーンなんですね。
いい機械ですよ。
〇のトコ、カウンターウエイト背負って無いでしょ。
このKATOのSL-850ね、5tのカウンターウエイトを背負って80tクレーンだからね。
カウンターウエイトを背負って無いので、50t~70t代車とかで現場にはオーダーされてたんじゃないかな?
と推測してみる。
あ、それと”アーム”じゃなくて”ブーム”ね。
ちょっと気になったトコです。
クレーンが横転する要素
自分の経験上、クレーンが横転する要素って大雑把にくくったら3つ位じゃね?
って思うワケですよ。
リミットを解除して能力以上の作業をした場合
1つ目の横転要素なのですが…
リミットの解除の”魔法のカギ”を使ってしまう事。
最近の機種は、魔法のカギを使っても能力以上の荷重は吊り上げられない仕様になっている機種もありますよね。確か…
クレーンって、能力の125%までは耐えられる構造にはなってるんですよね。
最近、リミット切って作業しないから記憶が曖昧ですが…
合図者 『オペさん!! あと2mなんだよな~ もう少しブーム倒せない?』
オペさん 『いや、もう赤ランプ回ってんすよ…。』
KATOレディ『転倒シマス。転倒シマス。』
こんな場面…
現場ではよくあるんですよね…。
ワタクシも何度も経験あります。
で、魔法のカギを回して制限解除…
で、ズドーン!!
ってパターン。
自然の驚異
10分間の平均風速が10m/S以上の風が吹いた時は作業中止
って基準があるんですけど
ま~ぁ工期が迫ってたら関係無いよね。
オペ 『風がメチャ強いんだけど、作業中止にならないの?』
監督 『…』
オペ 『おい!! スルーしてんじゃねぇよ!!』
って事よくあります…。
風速が10m以上吹いてて、ジブ出して作業してたらま~あ気持ち悪い事気持ち悪い事…。
瞬間的な突風に煽られて横転するってケースも少なからず有り得ます。
なんてったって大型トラックだって風で煽られて浮いちゃったりするんだからね。
クレーンだって風で煽られて横転しますよ。ハイ。
それとね、地震ね。
余談なのですが、あの東日本大震災の日の夜…
ワタクシ、夜勤だったんですよ。
余震がすごくてね、自分が荷を揺らせてるのか地面が揺れてるのかわからなかったからね。
そんな経験もしております。
アウトリガーが地面にもぐった
オペ 『ココ、すんげぇぬかるんでるけど埋め戻したりしてない?』
現場の人『あ~ だいじょぶだいじょぶ。昨日〇〇重機さんココで作業してたよ~』
オペ 『すんげぇ潜るんですけど…(-_-;)』
って事、往々にありますよね。
埋め戻した箇所や地盤が悪い・柔らかいを知らずに・教えずにクレーンをセットしてアウトリガーが地面に潜ってクレーンが横転した。
ってパターン。
今回の事故に関しての印象って、どうもコレっぽいんですよね。
いくつかの疑問
ナゼ敷板を敷かなかったのか?
ネット上で様々な事故画像がアップされてますね。
そこから推測される事と、いくつかの疑問があるんですよね。
まずコレ↓見てください。
右側のアウトリガーは前後ともに全張り出しと思われます。
〇の部分ねクレーンに備え付けのアルミの敷板と思われます。
右前のアウトリガーの養生に設置してたハズ。
で…
右後ろのアウトリガーは、□の部分ね。
コレ、現場で設置した敷き鉄板の上に乗せる様にセットした。
□は吊荷と思われる。
で…
ワタクシの疑問はココから…
〇の部分なんですけども、クレーン備え付けのアルミ敷板を格納する架装っぽいんですよ。
敷板を収められるようなアングルが立ってますよね?
で…
次の画像…
↑アルミの敷板が3枚重なっているように見えます。
クレーン備え付けのアルミ敷板はアウトリガーの本数分の4枚なんですね。
1枚は右前のアウトリガーの養生に使用した。
残りの3枚はクレーンに乗ったままだったのではないか?
横転の勢いでアルミ敷板3枚が車外に投げ出されたのではないか?
と思えてしまうんですね。
もしそうだとするならば…
アルミ敷板1枚敷くなら、残りも敷けばよかったのに…
って思ってしまう。
1枚敷くなら4枚敷くのも時間はたいしてかからないよ。
アルミ敷板を敷く事に対して
時間が無いから?
めんどくさいから?
で、その辺にあった角材を敷いたのかな?
なので…
宮城・塩釜市のクレーン車横転事故 アウトリガー補強に角材使用か
18日、宮城県塩釜市内でクレーン車が横転した事故で、クレーン車を支えるアウトリガーを、通常用いられる鉄板ではなく強度の弱い角材で補強していたことが工事関係者への取材で分かりました。警察が、安全管理に問題がなかったか調べています。
地盤の弱い場所では「アウトリガー」と呼ばれるクレーン車を安定させるための装置を左右に伸ばして、その下に鉄板を敷いて補強し事故を防ぎますが、その後の工事関係者への取材で、左右のアウトリガーの一方が通常用いられる鉄板ではなく角材で補強されていたことが新たに分かりました。
警察は、鉄板よりも強度が弱い角材を使ったことが事故を引き起こした可能性もあるとみて、現場の安全管理に問題がなかったか調べを進めています。
↑またもや引用。
という見解が出たのかな?と思われます。
角材で養生はいけないの?
いけなくないですよ。
ハイ。
ワタクシも現場で角材をアウトリガーの下に敷いて作業する事はありますよ。
備え付けの角材ね。
コレ、結構固いのよね。
でね…
クレーン備え付けの角材が砕けたとしてもさ
ここまで潜らないんじゃない?
ガッツリ潜っちゃってんじゃん。
ココまで行くと角材関係無いでしょ⁉
って思えてしまう。
地面もぬかるんでいる様には見えない。
仮に備え付けのアルミ敷板を使っていても潜ってたんじゃないかな?
とも思えてしまう。
なんでそっちに旋回したの?
ここからがワタクシの疑問の本題なんですけどね…
その前に…
中間張り出しについて
ちょっとコレも見て欲しいんですけどね
〇のトコねアウトリガーが中間張り出しなんですね。
で、コレね
左側のアウトリガー幅はこの性能だったのかなと。
で…
ブーム長さなんですけども24mブームじゃないかな~?
ブームロックの穴が3つ出てたから…。
でね、
重量と作業半径によっては中間張り出しでも作業できるんですね。
その重量と作業半径次第なんですけどもね…
↓能力表についての参考記事です。
警察によりますと、事故当時クレーン車は10トン程度の機械をつり上げていたということです。
という情報も出てきました。
フック重量込みの10tか、機械モノが10tなのかはここではわかりませんが、仮にフック重量込みで10tとしたら…
真横を向いた状態で作業半径6mまでは作業できるんですね。
なので…
中間張り出しで作業した事がいけないんだ!!
っていうのは間違いなのね。
それは置いといて…
旋回方向にすんげぇ疑問
防犯カメラが横転の一部始終を捉えていたって動画も出てましたね。
その動画を確認すると…
10tのモノを吊り上げて、トラックに積み込む予定だったんでしょうかね?
クレーンの旋回体を確認しても左に旋回してるんですね。
なぜ中間張り出し側に10tも重量のあるモノを旋回させたのだろうか?
なぜ中間張り出し側に10tも重量のあるモノを旋回しなくてはいけなかったのだろうか?
先ほども書きましたが、中間張り出しでも能力内ならば作業できますよ。
けどね、自分が当事者だとしたらですよ…
心理的にはアウトリガー幅が全張り出ししてる右側に旋回したいんですよ。
だってさ、アウトリガーを全張り出ししてる側のアウトリガーって、アルミの敷板と鉄板で養生してたじゃない?
アウトリガー全張り出し側の能力としては、作業半径10m位までの余裕はあったんですよ。
アウトリガー中間張り出し側の能力って6mだったじゃない?
その差4mもあるワケですよ。
わざわざ作業半径に余裕の無い中間張り出し側に旋回させた事がワタクシが思うこの事故の一番の疑問なんですね。
それに、乗用車が多い側に旋回したってのも疑問なんですよね。
アウトリガーが潜らなくても、乗用車の上を吊荷が通過する事になりますよね?
ワタクシ達は、吊荷の落下も常にリスクとして考えて作業してますからね。
ブームの下にも書いてあるでしょ?
吊荷の下に入るな!!
ってね。
仮にね、
吊荷からボルトや部品が落下して乗用車に当たった~
なんて事になったら色々と大変だしね。
始業前の一仕事みたいだったんですけど、乗用車の中には作業員さんが乗ってるのも見えてたハズなんですよね。
最後に…
なぜ中間張り出し側かつ乗用車の多い側に旋回させたんだろうか…?
現場責任者の指示なのか、玉掛合図者の指示か、オペの判断なのかはわかりませんがね…。
当事者でも関係者でも無いので勝手な事は言えませんがね。
結果論なのかもしれませんが、アウトリガー全張り出し側に旋回してさえいれば…
もしかしたらではありますが、この災害は防げたのかもしれませんね…。
コメント
アウトリガーは中間張り出しでは無くて全張り出しだったのではないですか?転倒した事でロックピンが入ってなくてシリンダーが縮んだと思いますが!
現役オペさん
初めましてm(__)m
別の角度から見た画像がいくつかありまして、左後ろのアウトリガーとトラックの位置が全張り出しした場合よりも近く見えました。
ですので、中間張り出しだったのでは?
と推測しました。
関係者ではないので真相はわかりませんがね…
ども、自分も2回戦?に参加させていただきます
f(^^;
コンマ1tさん指摘の
>熟練のオペほど経験と危険への慣れであと少しの手間を惜しんでしまいがちになりませんか?
これについてですが、これは熟し過ぎて腐ってますね
(≧▽≦)
程よく熟して、丁度良い状態ならそんな事はありません(笑)
大抵は、高いリスク背負って、サーカスみたいな事をしても安い給料しかもらえないアホらしさに気付き、程良い状態を保てるのですが、環境によってはダークサイトに落ちて腐ってしまう事もあるようですね
(-。-)y-~
皆さん、自分や家族の為にも、安全で慎重な作業を心掛けましょうね
(゜∇^d)!!
とも蔵さん
お疲れ様ですm(__)m
≻大抵は、高いリスク背負って、サーカスみたいな事をしても安い給料しかもらえないアホらしさに気付き
…確かに
無理しても給料変わらないなら無理しない方がイイです。
≻皆さん、自分や家族の為にも、安全で慎重な作業を心掛けましょうね
(゜∇^d)!!
ごもっともでございますm(__)m
明日は我が身と思いながら、今日も限界へとレバーを入れる日々を送っている全国のオペの一人として、自分と皆様の運が尽きない事をお祈りいたします。
現場を見る限り、吊り荷は屋根の折板用の加工機で恐らく8t前後くらいです。
吊り位置が高い事から分かるように、支保工で組んである屋上へのステージ上の乾いた部分の形と大きさから加工機はそこに据えてあったのでしょう。クレーンの設置位置からして、躯体側に旋回するには介錯がしづらいのと足場の立ち上がりを交わすのがブーム長と起伏角から難しい為左に旋回したんでしょうね。
あと4軸の落とし穴で、前方性能めっちゃ強いけど、旋回した瞬間に赤ランプみたいな感じで、特に旋回フリーにしてると限界超えても惰性でイッてしまうんですよね
転倒時の旋回から見ても左前脚に荷が集中した時点で転倒している様に見えるので、おそらく正面辺りから少し左に旋回した時点でアウトリガーが地面に潜行して行き転倒したと思われます。
あとステージ上に転倒する瞬間まで介錯ロープを持った人がいる事から合図通りだったんではないでしょうか?
何にせよ重量物を吊る時はアウトリガーの張り出しとしっかりとした養生がされてないと危険極まり無い事は確かですね。50クラス以上だと異張り出しするとテコの原理で機体の重量だけでバックドロップもありますからねー
建築の現場行くとたまに
「あーここ改良打ったるから大丈夫ですよ〜」なんて言うアホな監督が多くないですか?
さー今日も60で後からの地滑落石、足元も地滑りで崩落転落注意の切羽現場で限界に挑戦します
コンマ1tさん
お疲れ様ですm(__)m
ギリギリマスター…
お疲れ様です…
≻あと4軸の落とし穴で、前方性能めっちゃ強いけど、旋回した瞬間に赤ランプみたいな感じで、特に旋回フリーにしてると限界超えても惰性でイッてしまうんですよね
転倒時の旋回から見ても左前脚に荷が集中した時点で転倒している様に見えるので、おそらく正面辺りから少し左に旋回した時点でアウトリガーが地面に潜行して行き転倒したと思われます。
自分もソレ思ったんですけど、さすがにあのクラスを乗ってて、その特性を知らないって事はないんじゃないかなぁ~って…
全張りでも正面からミラーの辺りを越えると2t程能力落ちますよね…。
『え?なんで?』
って一瞬焦るっていうのをちょこちょこやってました(笑)
≻何にせよ重量物を吊る時はアウトリガーの張り出しとしっかりとした養生がされてないと危険極まり無い事は確かですね。
ごもっともです…。
≻さー今日も60で後からの地滑落石、足元も地滑りで崩落転落注意の切羽現場で限界に挑戦します
限界突破しないよう注意してくださいね(;´・ω・)
とも蔵さんの意見にも同意ですが、転倒事故の原因に付け加えるならば、熟練のオペほど経験と危険への慣れであと少しの手間を惜しんでしまいがちになりませんか?
この事故も、時間からして始業前に一発勝負してさっとクレーンを逃がさないといけない現場だったんじゃないかと
それに例え右旋回してても、トラックに積み込みの時に転倒してたでしょうね。
ギリギリマスター
お帰りなさいm(__)m
手間を惜しんでの事故だとしたならばですよ…
車内で仕事の準備して、ブームの下敷きになった被害者の方が気の毒でならないです(>_<)
ども、いよいよ年の瀬
無事に正月を迎えなければと思う爺です
さて
>なぜ中間張り出し側かつ乗用車の多い側に旋回させたんだろうか…?
自分はその方向に旋回しなければ吊荷がブームに当たるような状況だったのでは?と察しました
また、最近のオペを取り巻く環境に原因があったのでは?と思います
最近はオペ不足からか、経験不足のオペでも格好がつけばとりあえず乗っているって感じで、深く慎重な判断力に欠けている人がほとんどだと最近一緒に作業をしたオペ達を見てそう感じました
なので、イレギュラーな事に対してまさかの行動(操作)をしてしまうのかなと思います
最近はクレーンや現場環境が良くなり、あまり深く考えなくても作業できるようになりましたからね
実際、今の現場でも半年位25tに乗っていた程度の経験しかないオペが50tに乗っています(笑)
もちろん、そのフォローは全て自分で、当人は無難な場所、無難な作業をしているから乗れているだけなのを勘違いして『俺様スゲー!』ってなっているのが痛々しいです
(^^;
とも蔵さん
お疲れ様ですm(__)m
≻自分はその方向に旋回しなければ吊荷がブームに当たるような状況だったのでは?と察しました
だとしたら全張り側逆っすよね…
≻最近のオペを取り巻く環境に原因があったのでは?と思います
う~ん…
辛辣なご意見でございます(;´・ω・)
確かに、自分が乗り始めた頃よりも緩くはなったかなぁ…?
機械も格段に良くなってますしね…。
う~ん…
なんて言ってイイか難しいっす(;’∀’)