傾斜地での荷下ろし作業はどうしてる?

クレーンあるある

先日、当ブログに佳祐さんという方からコメントをいただきました。

ありがたいハナシですよね~

 

 

クレーンブログを見て勉強させていただいている、重量物屋です。
歴がまだまだ短く修行中です泣

大変おこがましいのですが、一点お聞きしたいです。

クレーンの前に荷を載せたトラックが停車してます。

そのトラックは傾斜面に停車してて、その場所で玉掛けをしないといけない場合

オペさんとしては何を意識して吊りますか?

また何を意識して吊るべきかお聞きしたかったです…

 

オペさんにそのまま吊るとバーンってなるよと言われたのですが、具体的に理由を聞かなかったので知りたかったです。。

 

もし可能であればお聞きしたいです。

 

はい!!

久しぶりにいただいたご質問に張り切ってお答えしていく所存でございますm(__)m

 

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状況を整理しよう

 

まず状況を整理しましょう

 

クレーンの前に荷を載せたトラックが停車してます。

そのトラックは傾斜面に停車してて、その場所で玉掛けをしないといけない場合

って事でね、クレーンの正面にトラックを止めて荷下ろししますよ~って状況

 

…なんだけども

傾斜地ってのがネックになってます。

 

クレーンはアウトリガーを張り出して、ジャッキを駆使して水平を取るんだけども、トラックって水平取れないんですね…。

 

こんな状況ね。

 

細かいトコは勘弁してもらってこんな感じね。

この図を作るのに結構苦労したよ。

 

この状況での注意点

 

 

で、この状態で作業するにあたって何に気を付けなくてはいけないか?

って事なんですけども…

 

オペさんとしては、合図に従って操作するんだけども

 

玉掛する側として気を付けてもらいたいのが

 

吊荷の偏荷重の有無ね…

 

部材なんかは割と水平に吊り上げられるように吊金具が付いてるんですけども、そうじゃないパターンもあったりするんですよ。

 

 

偏荷重ってなに?

 

偏荷重ってのは、変な形してて吊荷の重心が変なトコにあるやつね。

 

例えば…

 

玉掛ワイヤーを2本かけて吊り上げるとした場合、端と端で形が違うもので巻き上げたら変な形でつり上がるやつね。

↑こんな感じで。

じゃ、これを水平に吊り上げたいときはどうするの?

ってコトなんですけども、玉掛ワイヤーの長さを変える玉掛する位置を変えて吊荷を水平に吊り上げるんですね。

 

玉掛ワイヤーの長さを変える場合

 

Aの玉掛ワイヤーを長くして、Bの玉掛ワイヤーの長さはそのままで、吊荷が水平になるAの玉掛ワイヤーの長さを調整する

のか

Bの玉掛ワイヤーを短くして、Aの玉掛ワイヤーの長さはそのままで吊荷が水平になるのBの玉掛ワイヤーの長さを調整する

 

↓結果、こんな感じね。

 

 

玉掛する位置を変える場合

 

玉掛する位置を変えて水平に吊り上がる位置を探す

って感じですかね?

 

↑こんな感じでさ。

 

ハナシを戻して…

 

ハナシを戻しましてですね…

状況の確認ね。

 

・状況は斜面での荷下ろし。

・玉掛ワイヤーの長さは同じ。

・偏荷重は無いものとする。

・重量は5t(勝手に追加)

とした場合…

 

巻き上げ合図をだしたら…

 

玉掛して荷の重心に合わせて巻き上げたら…

 

↓こうなった。

 

オペさんにそのまま吊るとバーンってなるよと言われたのですが、具体的に理由を聞かなかったので知りたかったです。。

って、ことなんですけどね…

 

バーンってなるよ

バーンってなうと

バーンナウト

 

バーンアウト

 

バーンアウトって言ってたのではないでしょうか?

バーンアウトは日本語で「燃え尽き症候群」と呼ばれ、それまで熱心に仕事に邁進していた人が、突然やる気を失ってしまうことをいいます。 バーンアウトは、アメリカの精神心理学者であるハーバート・フロイデンバーガーが1970年代に提唱した概念です。

/引用しました。

 

あ、すみません。

ウソです。

 

 

たぶんだけどね…

この図の状態で、主巻フックが傾斜の低い側に引っ張られているような状態になった。

で、

合図者は荷の重心がズレたと思い、起伏の起こしの合図を出した。

そして巻き上げ合図を出した。

 

で、オペさんがそのまま巻き上げたら荷の重心がズレた状態で巻き上げたら、荷が振れて危ないですよ!!

ってことを言いたかったんじゃないでしょうかね?

 

傾斜しているので、荷の重心が非常に確認しにくいので、コレは経験と注意が必要な作業です。

 

 

気を取り直して

 

で、最初の状態に戻って…

 

・吊荷の重心の上あたりに主巻フックを持っていき、作業半径をオペさんに確認してください。

例えばですけども、ココで作業半径10mとします。

 

・巻き上げ

斜面の低い側の玉掛ワイヤーが張ります。

 

 

・様子を見ながらゆっくり巻き上げます。

①の玉掛ワイヤーが張ります。

②の部分に注目してください。

まだ着床してます。

傾斜地なので。

 

↑この時に、②の付近に人を立ち入らせないでください。

巻き上げ操作をした際に、荷が振れて吊荷とトラックの壁に人が挟まれてしまう可能性がありますので…。

 

 

玉掛合図者は、この状態でクレーンにかかっている吊荷の重量をオペさんに確認してください。

残りの重量が②の部分にかかっている重量になりますので。

あとどれだけ巻き上げたら、地切り出来るのか?の目安になります。

 

それと…

作業半径の確認をしてブームのたわみも確認してください。

 

 

重量がかかりブームがしなっていた状態で重心がズレていたのまま巻き上げ操作した場合、吊荷が振れます。

例えば、先ほど確認した作業半径が10mから荷重がかかって作業半径が12mになっていた場合で巻き上げた場合、増えた作業半径の2mくらいトラックの運転席側に吊荷が振れます。

 

2m荷が振れた場合、トラックにダメージを与えて現場の雰囲気めっちゃ悪くなります…。

 

なので、地切りする前に作業半径の確認をしてください。

 

その後、諸々の注意をしてゆっくり巻き上げ操作で地切りするって感じですかね?

 

地切り時に、ズズっ!!

って大幅にズレそうだったら、巻き下げて着床させてください。

んで、起伏合図で重心の真上にフックが来るように合図を出してください。

 

オペさんは何を意識して吊りますか?

 

オペさんとしては何を意識して吊りますか?

また何を意識して吊るべきかお聞きしたかったです…

ってことなんですけども、地切りの際に荷を振れない様に吊り上げるように意識はしてます。

ブームのたわみを確認して人知れず巻き下げ+起伏操作をしてから巻き上げたりね。

吊荷の揺れを止めたりね。

実は色々してるんですよ。

 

でもね、基本的にはですね…

僕たちクレーンオペレーターは、

玉掛合図者の合図に従う

ってのが前提としてあるので、合図者を信用して操作するしかないんですよね(;´・ω・)

 

傾斜地での荷下ろし作業や、オペから見えないトコでの作業は特に気を使います。

軽い物ならまだそこまでシビアじゃないけど、重い物って地切りに神経使いますね…。

 

最後に…

 

玉掛の資格ってさ、重量にあったワイヤーやスリングの太さや長さ、シャックル等の道具の選別や重心を予測して、掛ける位置まで考えて作業しなければいけませんからね。

 

今はわからないけれど自分が取得した時は簡単に取得できた資格だけど、経験と知識がモノをいう重要な資格なんですよね…

 

久しぶりのアンサー記事で、図を作成するのに時間かかってしまいましたね。

文章力に自信が無いので図で勝負(笑)

 

今回の記事が誰かの何かの一助になればコレ幸いです。

 

それでは本日も皆さん、ご安全に~

コメント

  1. 石川島 より:

    お疲れ様です
    丁寧な絵と説明がものすごく分かりやすいです。

    うわー!難しそう。油断すると荷がズレたり荷台痛めたりしかねない状況ですね。
    玉掛けさんもオペさんも胃が痛くなりそうなシチュエーション。
    ビビりの私はチェーンブロック掛けで斜めのまま吊り上げ着床前に真っ直ぐに修正して下すかな!?正しいのかどうかわかりませんが(笑
    移動式には乗った事ないので間違った事言ってたらすみません。

    • Slide Away Slide Away より:

      石川島さん
      お疲れ様ですm(__)m

      記事投下すぐコメントありがとうございます( ノД`)!!
      コレがスッっと地切れたら脳内スタンディングオベーションで全員拍手してますね(笑)
      今回は、チェーンブロックを持ってこないパターンで作成しました~

      む⁉
      『移動式には乗った事ないので』
      石川島さんってもしかして…
      IHIから来てます⁉
      天井クレーンオペさんだったりします⁉

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