近頃の吊り上げ性能が50t以上のラフターなんですけどもね、
細長~い感じしません?
2軸のラフター全盛の時は、車幅3.0mが普通だったんですけどもね。
この車幅3.0mの車両の走行ってのが、結構大変でさ…。
片側一車線の道路で、大型車とのスレ違いがかなりのプレッシャーだったりとか…
道路にはみ出た街路樹が嫌でね~
ボディがキズ付くから避けたいんだけど、交通状況的に避けられる状況じゃないとかね。
あ~傷ついちゃった…
みたいなね。
今や規格が変わって、各メーカーさんが頭を悩ませて行き着いたスタイルが
細長~い車体
っていう作りになってますね。
例えばコレ、TADANOさんのGR700-n2 G4の70tなんて言われる機体なんですけどね…
横から見ると…
全長は12.765mと長~い車体よね。
うわ~長いな~
運転しにくそうだな~
なんて思っちゃうよね。
で、幅がね…
バンパーの幅だけで見ると2.780mなんですよ。
で、GR250-n4 G4の25tなんて言われる機体ね。
全長11.53m…
実は1m弱しか長さは変わらないんですよね。
んで、幅なんだけど
2.62mと…
70tと25tの車幅の差は10㎝程の差しかないんですね。
一昔前は幅はデカい・ゴツいが一般的だったのですが、最近の機械はコンパクト化され細長~い車体になっております。
10cm車幅が細くなっただけでも、走行の際の精神的な疲れ方が全く違いますからね…(-_-;)
で、この細く長くになったが為か、2軸の頃よりも前方性能ってのが大きく変化していると感じるんですよね。
で、今回は吊り上げ性能80tの
KATOSL850Rf
※画像はカタログから抜粋
コチラの機種をベースに前方性能ついて説明しようかと思うですよ。
前方領域と後方領域とは?
仕様書の初めの方にある”定格総荷重表注意事項”に記載されているんですけどね、
↑こんな事が記載されてはいるのですがね
なんのこっちゃ?
って思う方も多いと思うんですけどもね
早い話、前後のアウトリガーを全張の状態を前提とした場合を例にすると…
前後方向の吊上げ能力と、側方の吊上げ能力が違いますよ~
って事なんですよね。
もっと砕いた言い方をすると…
運転席が前向いてる時と横向いてる時で能力が違いますよ~
って事なんです。
どのくらい吊上げ性能が違うの?
性能表を見比べてみよう
性能表・能力表についての説明はコチラ
KATO850RFの性能表なのですが、条件として…
・アウトリガー最大張り出し
・ウエイト非装着状態
での性能表です。
まずは前方領域の前方性能表です。
赤線のトコに注目してください(前方)って表記されています。
で、前方以外の性能表がコチラ↓
(側方、後方)って書いてあるんですよね~
前方領域と側方領域の範囲はどこから!?
私の風邪は鼻から!!
って事は、何色のベンザブロックだっけ?
的なノリでございまが、前方領域から側方領域に変わるトコは一体ドコなの?
って事ですがね…
条件として、前後左右のアウトリガーを完全張り出しした場合…
↑こんな感じ。
運転席から見たら、バンパーのサイドミラー付近にブームが来たら、前方領域と側方領域の境目かな~?
的なイメージですね。
↑こんな記載もあるのですが、基本はアウトリガー全張り出しが望ましいですね。
性能の差は一体どのくらい!?
で…
いくつか注目していただきたいポイントがありまして…
以下のようなモノを作ってみました。
まず①の赤枠なんですがね…
38.0mブームで同じ作業半径30mでですね、
側方(90°)の場合の性能 0.95t
前方(0°)の場合の性能 2.30t
で1.35tもの能力差があります。
前方(0°)と真横(90°)でコレだけ違うんです…
さらに…
②の赤枠にですが…
側方(90°)の場合の性能は45.0mブームで作業半径34.0mがMAXに対し
前方性能はまだまだ余裕がある。
通常、ブームを伸ばせば伸ばす程、性能は落ちるのですが…
前方領域で作業半径34.0mで…
42.0mブームだと 1.65t
45.0mブームだと 1.75t
と若干数字が増える不思議。
KATOのクレーンは化け物か!?
という事になりますね。
③の赤枠の前方性能は45.0mブームで作業半径41.0mでMAX0.65t(フック重量込みで)まで性能があるんですね。
その差7m…
なので…
この前方領域を利用した前方性能がある機種を操作する場合、この辺の内容をしっかり把握しておかないといけません。
据える側も同様に、この前方領域の内容を把握しておくと作業進捗を優位に調整できるのではないでしょうかね?
作業範囲図で先ほどの違いを角度と距離で表してみました。
水色が側方領域作業半径34.0m
赤色が前方領域作業半径41.0m
図でクレーンは正面向いてますが、ソコは置いといてください。
作業半径7mの差ってデカいですよね…。
TADANOさんは”スマートチャート”な~んて言い方してますね。
なぜ前方と側方で能力が違うの?
ここで、前述の細く長くってのが関係してくるんですね。
例えば旋回角度0°の場合…
運転席の後ろにエンジンがありますよね?
このエンジンがウエイトの役目を果たしているのでは?
と思うわけですよ。
ところが90°右に旋回してみると運転席の後ろにはウエイト変わりになるものは何も無い。
要はこの違いなのではないでしょうか?
そんな事をメーカーさんに聞いた気がするです。
操作上の注意点
機種は違うのですが…
当方、重量物を起伏角度そのままで0°から右に90°旋回しようとしたら自動停止したという経験アリです。
KATOレディに
『転倒シマス、転倒シマス』
って言われてね…。
一瞬、
『え? なんで自動停止したの?』
ってフリーズしちゃいました。
同じ起伏角度・作業半径で旋回したら、2t近く性能が変わるんですもんね…。
そりゃ自動停止しますよね…。
ついつい従来機のつもりで操作しちゃう旧タイプおじさんです。
前方で荷を吊り上げて、側方に旋回する場合は、
前方領域で重量物件を吊上げたら…
起伏操作でブームを起こして近くに寄せる。
その後、旋回操作
という操作の流れのクセつけておかないと、イチイチ赤ランプ点滅して自動停止となってしまいます。
仕事にならないし、何より危ない。
当然、状態設定画面で前方性能を含むモードで作業するかしないかを設定できます。
最後に
いかがでしたでしょうか?
50t以上の前方性能があるラフターを操作する側はモチロンの事ですが、使用する側(オーダーする側)も知っておいて損はないかと思います。
アウトリガーは全張り出しで、その機械の性能をフルに発揮して安全に作業を行いましょう!!
それでは本日もご安全に!!
コメント
十二指腸潰瘍から完全復活したとしでございます!快気祝いは唐揚げとハイボールです( ̄▽ ̄)
先日法面上の現場に資材を上げるため16tラフター(G4でした)をチャーターしたんですが(営業さんに現場を見てもらったら16tで大丈夫と言われたため)、前方吊りでフルブームでおおよそ角度60°の所に600kgの物を上げる作業でした。機体が天秤になったのか、後方のアウトリガーが10cmくらい浮いてるのに青ランプのままでした。オペさんに言ったらものすごくテンパってました。こんな事ってあるんですね( ゚д゚)
としさん
十二指腸潰瘍完治おめでとうございますm(__)m‼️
運転席からみて左側だったら浮いてるかどうかの目視確認出来ないっすからね…(-_-;)
そりゃ焦るっすね(笑)
自分は水平取ったつもりだったんですが、タイヤが着地していてしっかりジャッキアップされてなくてフワフワ浮いてた事あります(笑)
はじめまして〜
カトウの3軸のってますが、旋回芯からバンパーまで長さがあるから作業半径伸びちゃって微妙なんですよね〜前向きで設置しちゃうと真後ろにトラック付けられたりしたらエンジンフードで見えないし
ただ、ブームグリス塗る時は前方ならフルブームでベタに出来るんで便利ですけどね〜
ラフ太郎さん
はじめましてm(__)m
そうなんすよ~。
旋回体中心~バンパーまでの1mって
結構設置位置って限られてくるんすよね…
横向いても変わんねぇじゃん
みたいな…
記事書いててそれ思ったんすけど、気付かないフリをしちゃいました(笑)
ども、ごぶさたしておりまする
m(__)m
クレーン業界から足をあらった、1抜けたおじさんです
\(^o^)/
さて
(^^;
前方性能はほぼ、強度による数値みたいなので、強度による限界領域での作業は余裕があり、クレーンが安定してそうですね
( ̄ー+ ̄)
逆に、安定モーメント領域は範囲が狭いので、慎重に操作しないと踏ん張ることなく一気に倒れそうですね(笑)
安定モーメント領域では、無理できるできない以前に、何も吊っていない状態でもクレーンの安定が悪いんじゃないでしょうか?
(^^;
ちなみに、TADANOの3軸50tの前方性能は、アウトリガーを設定する画面で前方性能を選択しないとAMLの表示が前方性能に切り替わりませんでしたが、前方性能と言っても、300kg位or1m位しか変わらないので、前方性能設定を忘れたり、前方から横へorその逆でも、気付かないレベルでした
(≧∇≦)
とも蔵さん
お疲れ様ですm(__)m
1抜けすちゃったですか…( ;∀;)
≻安定モーメント領域は範囲が狭いので、慎重に操作しないと踏ん張ることなく一気に倒れそうですね(笑)
中間張り出しで地面にもぐったあの事故もコレ絡んでんじゃないかなー?って
思っちゃいます…。
大きな変化を感じるのって70t以上なのかも知れませんね…