無線合図にて…　第2話 ガメラの囁き

今日、仕事中の出来事。
その日の作業内容はプラント設備の保全で、高所に資材や機械モノを上げるというもの…
クレーンをセットした後、合図者が無線機を取りにきた。

 

合図者は何度か一緒に仕事したことがある人でした。
50代で、通勤は手足を引っ込めて飛来してくるんじゃないかな?

っていうガメラ似のナイスガイ。

 

 

この人すごくいい人なんだけど、１つだけ残念なトコがあるんですです…

 

声がメチャクチャ小さい…
作業内容の確認でね…

 

ガメラさん　『コレをさぁ…,ﾎﾞｿﾎﾞｿの後にﾎﾞｿﾎﾞｿして、その後ﾎﾞｿﾎﾞｿ…』

 

肝心な所が聞こえない。

 

もう、出だしの”コレ”しか聞こえない…

(-。－；)

 

俺　『　え？　』

 

ガメラさん　『だからコレをさぁ…,ﾎﾞｿﾎﾞｿの後にﾎﾞｿﾎﾞｿして、その後ﾎﾞｿﾎﾞｿ…』

 

俺　『え？コレすか？』

 

ガメラさん　『違う違う!!だからあそこのアレをさぁ…,ﾎﾞｿﾎﾞｿの後にﾎﾞｿﾎﾞｿして、その後ﾎﾞｿﾎﾞｿ…』

 

って…

 

聞き直すたびに、聞きたい箇所がどんどん遠くなって行く泥沼状態…

 

何度も聞き直すと、手足を引っ込めて回転してクレーンに体当たりされるとマズいのでフィーリン

グで感じ取る事にした。

 

まぁ、大まかな作業内容は把握していたので…。

 

無線機使用なのでクレーン側の無線機の音量を上げればいいのだが、音量を上げるとノイズを拾う

のでベスト音量を探し出すのが至難の業。

 

程なく作業開始。

 

玉掛け完了で下の合図者が笛で巻き上げの合図。

俺　『んじゃ、そっち行きますよー』

ガメさん　『はーい　いいよー』

 

音量上げるか…

ガメさん　『はいザー旋回ー』

ヤベっ音量上げすぎたΣΣ(ﾟдﾟlll)!

 

雰囲気的には右旋回だったので、

俺　『右？旋回すよね？』

ガメさん　『そうそう、右旋回ー』

音量調節が難しい…

ガメさん　『はいストップー 親ザー』

 

ぬぅぅ!!

またもや肝心な所でノイズが(`皿´)!!

 

俺 『親スラー(ブーム倒しの業界用語的なもの)？すか？』

 

ガメさん 『そうそう親スラーね』

 

脅威の2択構成…

 

ガメさん 『この前ﾎﾞｿﾎﾞｿでﾎﾞｿﾎﾞｿザーだったでしょ(笑)』

 

なんか笑ってっけど、さっぱり内容が解らない…

 

コレ何択問題だ？

 

ガメさん…

頼むから合図意外の会話は勘弁してくれ…

 

とりあえず

俺 『そうっすねー… ハハ…(´･ω･lll)』

って様子見…

ガメさん 『でしょー(笑)』

 

あ…

なんか会話が成立したらしいぞ…

 

俺の相づち野郎っぷりもナカナカのモンだ。

でも、この綱渡り的な状況をなんとかしなくては…

 

何より…

すんげぇやり辛い…(´･ω･lll)

 

2択チャレンジに失敗して事故でも起こしたら大変だ…

 

 

 

なので…

意を決して言ってみた。

 

俺

『あの…

すみません…

もうちょいマイク近づけて(しゃべって)もらえます？

なんかコッチ側、ノイズがすごくて聞こえにくいんすよねー』

 

敢えて声が小さいから…

 

ってのは触れない優しさ。

 

言えない弱さ…。

 

ガメさん

『あーｺﾞﾒﾝｺﾞﾒﾝ

ガサガサ…

コレでいいかな？

ンフー ぶふー』

 

ンフー？ぶふー？

 

ヤベ…

鼻息も拾っちまった(´･ω･lll)

 

!？

 

あれ?

鼻の真下にマイクあるのかな？

 

でも2択地獄から脱出するには我慢するしかないね。

 

俺 『ああーバッチリ聞こえます(鼻息までね…)』

 

ガメさん

『あー良かった。

ぶふーんじゃ子スラー(巻き下げの業界用語的なもの)ね

ぶふー』

 

今度は鼻息が強調された…

 

音量調整難しい┐(ﾟ～ﾟ)┌

 

俺 『はい子スラー(あ…また鼻息だ…)』

 

そんなこんなで、その後は無事作業終了。

 

降りてきたガメさんの鼻の真下にはしっかりマイクがあった。

 

ほぼ１日おじさんの鼻息を聞きながらのお仕事。

 

なかなか説明し辛い切ない気持ちになりました。